チビ猫の話 ⑥
自分から置きエサにはたどりつけないが、
近くまで連れていけばお皿でエサを食べる
ようになった
ウンチもよく出ている
食後にタオルで顔や体を拭くと、気持ち良さそうな
顔をする
お母さんに舐めてもらってる気分なのかな
お風呂に入れて洗いたかったが、風邪をひいてる
ので前足だけお湯で洗った
嫌がって、ちょっと怒った
目やにや鼻水でガビガビだった前足は、
顔をこすりすぎたのか毛が抜けて、
皮膚がただれていた
さらに、顔を拭きすぎて目の周りが赤く
ただれてきてしまった
チビ猫が毛づくろいすると、前足に
血がつくこともあった
眼球のない右目は腫れがひいてきて、
目が開けられるようになったけど、
目の中はからっぽ
見えないのに、開けたり閉じたりするのは、
もともとは見えてた名残りなのかな
翌日帰宅すると、チビ猫がぐったりとしていた
首がダラリと伸びている
ピクリともしない
「ああっ…Σ(゜Д゜|||)」
とうとうこの日が来てしまった…
ところが、私の気配を感じたのか、チビ猫は
むくっと起き上がってミャアと鳴いた
生きてた~(涙)
目や前足が痛いだろうに、こんなに無防備に
くつろいで熟睡してるなんて、なんて強い子
なんだろうって思った
別れが辛くならないように、感情を押さえて
世話をしてきたけど、
とうとう愛情が湧き上がってしまった
私は、心の中で、チビ猫に名前をつけた
その名は
マサムネ
独眼竜政宗から名付けた
いい名前だろ?
⑦へ続く~
by 白順